鹿児島市の伝統的繁華街・天文館のメインアーケード街の中、島津斉彬を奉る照国神社寄りにある熊谷(くまがい)果実店は、正月以外は年中無休で、朝8時から夜8時まで営業する高級果物店。
店主・熊谷正昭さんの父・助吉さんが昭和の始めに創業。当時市外や県外からの観光客が車で乗り込み、ひしめく人と車が入り乱れての賑わいを見せ、今も創業の地・天文館地区で営業を続ける数少ない高級果物店の老舗の一つ。
熊谷果実店の店頭には、黄色の大きな紙で、お勧めの旬の高級果物のお品書きがずらずらと並べられ、天文館で果物贈答品を捜すお客やショッピングを楽しむ人々の視線を集めている。
正昭さんが学業を終えた若き日、実家の果物店を継がない決意をし、サラリーマンとして会社に就職したものの、2か月後、父助吉さんが病に倒れ、緊急事態で家業の手伝いを始めて、そのまま45年の月日が流れたとのこと。
正昭さんは、「季節によって、また年々の気候の変化などによって、美味しさに波が生じるブランド品にあまりこだわり過ぎず、新しい美味しい果物をお客様に買っていただいて、喜んでいただく」ことだけにこだわり、半世紀間営業を継続。
「お店に買い物に来ていただいて、店が休みで果物が買えなかったでは、お客様に申し訳がない」と、熊谷果実店は正月を除いて店を休まず営業を展開。
天文館アーケード街の伝統的な賑わいは、年中ほぼ休まず営業する熊谷果実店などの頑張りで支えられていることが分かり、改めて街づくり、町興しの心、町の賑わい、お店の元気を継続し、維持していくことの難しさに気づかされました。