
鹿児島市西千石町の高見馬場交差点近く、山下小学校の前に聳える高層マンションの一階にある、繁華街天文館一帯の高級食材などを賄うフレッセ厚生市場。
そのフレッセ厚生市場内の一角に、やさい・果物、特にこだわり商品を意識し、得意とする青果店・南商店があり、店主・南省治さんは、現在、鹿児島市卸売市場青果食品協同組合の理事長。
南さんは奥様とともに、全国に散らばっていた旧厚生市場の200人もの地権者の方々の説得を、全くの無償、手弁当で根気よく続け通して、ついに新フレッセ厚生市場及び高層マンション建設を実現した地域再開発のプロ、町興しの達人。
昭和24(1949)年に開設した旧厚生市場は、終戦直後のアジア大陸各国や台湾からの引揚者たちが興した闇市から出発し、南さんの父親も戦前は南朝鮮で警察官を務めた引揚者で、野菜専門店として出発。
南商店が野菜と果物を扱うようになったのは、5年前にフレッセ厚生市場が完成・オープンしてから以降で、売上も3倍に伸びているとのこと。
野菜専門店のころからのお店のこだわりとして、「誰も持っていないもの、特別なときに南商店に行けばきっとあり、『えっ!』とお客様が驚いてしまうような『通好み』の高級食材を必ず揃えて、お店の個性と色出しに努力。天文館の高級飲食店や鹿児島の政治・経済をリードするキーマンたちの奥様方が好んで買い物に来る青果店としての人気をキープ。
商売人仲間うちでも特に超高値の旬の食材を先取りし、本物の味を持つ最高級食材を堂々と仕入れられるのも、お客様の支持とニーズにしっかり支えられてのことで、客筋をしっかりと絞り込んだサービスの提供に邁進するという、現在の南商店のこだわりとコンセプトが出来たのも、2代目南さん夫婦がともに知恵を絞って、絞りぬいて辿り着いたアイデアであったとのこと。

現在、フレッセ厚生市場内には、3店舗の青果物取扱店が鎬を削っており、各お店にはそれぞれの特徴・カラーがあり、かえって全体の集客力が増しているとのこと。
増えたお客様が好みの特徴のあるお店を選んでいただくだけで、お店にしてもモノ余り現象、飽食の時代の中で、全ての客様の好みに合わせてモノを準備し、売ることは土台無理な話で、それぞれの個店の個性・特徴・カラー出しがいかに大切かを南さんは力説。
「いいものを準備して待っていれば、お客さんは尋ねてくるもの。モノを売るより、お客さんに好かれること、まずは人間関係が第一番!」と語る南さんは、「どれだけニーズと品揃えを絞り込むことが出来、特徴や個性の色がプンプンするお店に出来るか否かが、これから生き残れる道。これからは、知恵を使う人、例えて言えば、想像力に衣を着せて現実というスクリーンに映し出せるような人だけが生き残れる!」と強調。
さらに若いころ挫折し、「自分の出来ることと、出来ないことの限界を見極め、人生観もガラッと変えた」と語る南さんは、自らのことを「生き抜くために環境の変化に敏感に反応し、かつ臨機応変に行動するカメレオン的直感型の人間」だと笑い飛ばす。
南さんは、「自らの責任は自らが取るべく、自らには厳しくちゃんと筋を通していくべきで、他人はできるだけ許してあげるように務めている」と語り、「個人や個店がまず自らを磨き上げ、独自の色を決め、光り出すことからまず始めて、他人やお客様の好みや期待を裏切らない、集団ではなく抜きん出た個人や個店の新しい戦いの時代に突入したことを、それぞれの店主が自覚すべき」とのこと。
「この青果業界で、何か問題点を見つけて、風穴を開けてみたい。ここ地元の天文館地区にしても、皆がそれぞれの個性の色をはっきり打ち出して、光る個人・個店主が100人集まれば、本当の街興し、鹿児島市を本当に楽しい街、人が訪れる街に変えられるのではないか」と、南さんに熱く語っていただきました。